コロナの空白を越えて
バングラデシュ訪問記2023 その1
事務局長 辻丹美
最後のスタディツアーから3年半、私は2023年3月、5年ぶりにバングラデシュに向かい、ジョナキ小学校、ボトムリーホーム子どもの家、カラグール小学校、ゴワバリ小学校、ムングラ小学校を訪問することができました。
滞在中、現地の人々の学校への熱い思いを聞き、ESAの学校が地域にとってなくてはならない存在になったことに感銘を受けるとともに、コロナの厳しい状況を乗り越え、息を吹き返した人々の将来への大きな希望を感じました。
授業風景で見えた大きな変化
8年以上継続してきた教師の指導力スキルアップトレーニングの成果が、この空白の年月を経て非常に大きく感じられました。自信をもって指導する先生の話を聞く子どもたちのキラキラした目、しっかりと先生の話を聞く集中力、はきはきと大きな声で教科書を読む姿、黒板の前に出て恥ずかしがらず問題を解く様子などから、5年前との違いがはっきりとわかりました。
成長する学校の運営
ESAの4つの小学校は生徒が40人から250人と規模が大きく違い、教師の人数も3人から10人と異なりますが、定期的に実施しているクラス運営のためのトレーニングが教師の経験値の向上に役立っています。経験豊富な教師がリーダーシップをとり、経験の浅い若い教師を指導することで、「質の良い教育を受けることで子どもの能力は向上し、自分の人生を選択できるようになる」というESAの目標に向かって一歩ずつ進んでいます。
先生たちもこの5年の間に世代交代があり、各校とも、2人の卒業生を教師として採用しました。母校の後輩たちへ熱心に指導をおこなう彼らの存在は、子どもたちの良い目標になっています。また、女性の教師の存在は、温かくきめ細かい指導が必要な小学校低学年の教育には欠かせないものとなっています。
どの学校も、敷地内、教室はきれいに清掃、整頓され、壁には教材やポスターがきれいに貼られ、質素ながらも教育環境が整えられています。教室は子どもたちのにぎやかな声にあふれていますが、生き生きとした中にも規律が感じられ、学ぶ姿勢を身に着けた子どもたちを誇らしく感じました。
(その2につづく)